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2013.05.16 (Thu)

泣けた・・・

<母>

俺が幼い頃に父が亡くなり母は再婚もせず俺を育ててくれた。

学もなく、技術もなかった母は、
個人商店の手伝いみたいな仕事で生計を立てていた。

当時住んでいた土地はまだ人情が残っていたので、
何とか母子二人で質素に暮らしていけた。

娯楽をする余裕なんてなく日曜は母の手作り弁当を持って近所の河原で遊んだ。

母は給料をもらった日にはクリームパンとコーラを買ってくれた。


ある日、母が勤め先からプロ野球のチケットを2枚もらってきた。

俺は生まれて初めてのプロ野球に興奮した。
母はいつもより少し豪華な弁当を作った。

球場に着きチケットを見せて入ろうすると係員に止められた。

母がもらったのは招待券ではなく優待券だった。

一人1000円払ってチケットを買わなければ入れないと言われた。

帰りの電車賃しか持ってなかった俺たちは外のベンチで弁当を食べて帰った。

電車の中で無言の母に「楽しかったよ」と言ったら、
「母ちゃん、バカでごめんね」と言って涙をこぼした。

俺は母につらい思いをさせた貧乏と無学が嫌になり懸命に勉強した。

新聞奨学生として大学まで進み就職して社会人になった。

結婚して母に孫を見せてやることもできた。

そんな母が去年の暮れに亡くなった。

死ぬ前に一度だけ目を覚まし思い出したように言った。

「野球、ごめんね・・・」

俺は「楽しかったよ」と言おうとしたが声にならなかった 

                      <心に響く話より>

 『泣けた・・・』
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